都倫研からのおしらせ

東京都高等学校公民科「倫理」「公共」研究会の情報をお伝えします。

夏季研究協議会 読書会のお知らせ

先日はお暑い中、第1回研究協議会 総会にお越しいただきありがとうございました。

さて、都倫研では下記のとおり、令和5年度夏季研究協議会を開催いたします。校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。

 

1.日 時 

令和5年8月16日(水)13:30~17:00(13:15受付開始)

2.会  場

東京都立井草高等学校 2階 会議室

アクセスマップ | 東京都立井草高等学校

〒177-0044 東京都練馬区石神井2-2-43   電話 03-3920-0319

3.内 容 

(1)13:30~14:50 「倫理」「公共」のための読書会

筑波大学大学院博士課程 勝俣 陸 先生

テキスト:ホルクハイマー,アドルノ啓蒙の弁証法』徳永恂訳、岩波文庫、2007年

 

(2)15:00~15:45 実践報告

「“公共”に向けて倫理の授業を考える―進路多様校と通信制高校での授業実践―」

新宿山吹高等学校 中村 祥太 先生

<中村先生より>

教員7年目までに行ってきた、前任校の受験指導のない「倫理」の実践と、現在の通信制課程での「公共」「倫理」の実践について紹介し、今後の課題を整理して皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思います。

 

(3)15:55~16:55 公民科「観点別評価」についての研修会

  • 観点別評価の状況・方法についての報告(都倫研 研究部より)
  • 観点別評価に関する授業実践共有(お持ち寄りいただいた教材等を基に検討)

※いわゆる「観点別評価」について、ご自身の実践をお持ち寄りください。

ご用意いただける場合には、各自、たとえば振り返りシート、授業用の教材プリント、試験問題、評価基準のシートなどを30部ずつ、ご持参ください。
(個人情報の扱いにはご注意ください)

 

(4)16:55~17:00    事務連絡・閉会

 

4.年会費 1,000円(当日受付、本年度の第1回研究例会にて納入済みの方は不要)

※ご参加には年会費を納入いただいております。

学生、大学院生は、年会費は不要です。

 

5.お問い合わせ

事務局 伊藤 昌彦  E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

東京都立杉並高等学校   電話 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767
                                  

  ※当研究会は、東京都教育委員会によって認定された教育研究普及事業認定団体です。
都立高校の先生方は「内国研修」でのご参加が可能です。事前申し込みは不要です。

           

■「倫理」「公共」のための読書会(勝俣陸 先生より)■
高校倫理の内容を高校生に分かりやすく教えようとするあまり、実際に哲学書に書いてある内容から大きく外れる説明となったり、哲学書で議論されている内容の本質からずれてしまったりするケースが、YouTubeなどの「分かりやすい」メディアの台頭に伴って、後を絶たなくなっているように思います。
ホルクハイマーとアドルノの『啓蒙の弁証法』は、実際の授業で扱うのが最も難しい哲学書の一つだと思います。同書は1939年から1944年にかけて、フランクフルト学派の第一世代と呼ばれるホルクハイマーとアドルノが、ナチ•ドイツの迫害から逃れ、カリフォルニアで亡命生活を送っている最中に共同で執筆しました。「序文」で「なぜ人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の新しい野蛮状態へ落ち込んでいくのか」という問いを掲げ、西欧文明に対する鋭い批判を展開する『啓蒙の弁証法』は、巻頭論文の「啓蒙の概念」、その補論であるオデュッセウス論、サド論、さらに文化産業論、反ユダヤ主義論、断片集、の六つの部で成り立っています。今回の読書会では同書すべての内容の核となる「序文」と巻頭論文の「啓蒙の概念」を読解していきたいと思います。
啓蒙の弁証法』それ自体を、あるいは同書の重要概念となる「啓蒙」や「弁証法」といった概念をどのように授業で扱うか、あるいは『啓蒙の弁証法』の知見から教師が何を学ぶことができるか、参加者の皆さんと討議できれば幸いです。

テキスト
・ホルクハイマー・アドルノ啓蒙の弁証法』徳永恂訳、岩波文庫、2007年

サブテキスト
上野成利他編著『『啓蒙の弁証法』を読む』岩波書店、2023年
仲正昌樹『現代ドイツ思想講義』作品社、2012年
細見和之フランクフルト学派中公新書、2014年

令和5年度 都倫研総会ならびに第一回研究例会のお知らせ

都倫研では下記の通り令和5年度総会並びに第1回研究例会を開催いたします。

ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。

 

1.日 時  令和4年6月22日(木)13:45~17:30(13:15受付開始)

 

2.会  場  東京都立墨田川高等学校 第一校舎 2年E組と一階会議室 
※ 会場は、グランドのある広い敷地の方の建物です。校内へは第一校舎と第二校舎の間を通る道に面する正門からお入り下さい。

〒131-0032 東京都墨田区東向島三丁目34番14号

電話 03-3611-2125
東武スカイツリーライン 東向島駅から徒歩5分 東武曳舟駅から徒歩6分
京成押上線  京成曳舟駅から徒歩8分
都営バス    東向島広小路から徒歩2分 百花園前から徒歩4分

アクセスマップ | 東京都立墨田川高等学校

 

3.内 容

(1) 13:45~14:30 研究授業

(2年E組 「公共」の「公共的な空間における基本的原理」)

東京都立墨田川高等学校 西山 椋子(にしやま りょうこ)先生
(2) 14:40~15:10 研究協議

(3) 15:20~15:50 総会

(4) 16:00~17:20 学術講演

演題「現代宗教とカルト問題」

講師 島薗 進(しまぞの すすむ)先生

(5) 17:25~17:30 事務連絡
 
4.年会費 1,000円(当日受付)
※当研究会は個人会員制です。ご参加には年に一度会費を納入いただいております。
学生、大学院生については、年会費は不要です。

5.お問い合せ  事務局  伊藤 昌彦
東京都立杉並高等学校   電話 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767

※当研究会は東京都教育委員会によって認定された教育研究普及事業認定団体であるため、都立高校の先生方は「内国研修」でのご参加が可能です。


◆公開授業について◆(西山 先生より)
本校では、公共は2年次必履修科目として今年度からのスタートです。公民科新学習指導要領の要となる「公共の扉」から、「公共的な空間における基本的原理」の部分を授業では取り上げます。4月からは、問いの構造化を意識づけ、生徒自身も問いを持てるように指導してきました。また、一人一台端末を活用して授業展開してきました。どの学校でも創意工夫して実践しているであろう「公共の扉」部分について、授業をもとに協議を深め、学ばせていただきたい、と考えています。

◆学術講演講師プロフィール◆(島薗 先生)
1948年東京生まれ。東京大学大学

院人文科学研究科博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、現在はNPO東京自由大学学長、大正大学客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書に「日本人の死生観を読む」「ともに悲嘆を生きる』(ともに朝日新聞出版)、「いのちを“つくって〟もいいですか?』『宗教を物語でほどく』『なぜ「救い」を求めるのか』(ともにNHK出版)、「グリーフケアの時代』(共著、弘文堂)、『ポスト問題の新宗教』(法蔵館)、『神聖天皇のゆくえ』、『新宗教を問う』(ともに筑摩書房)、『教養としての神道』(東洋経済新報社)、『政治と宗教』、『国家神道と日本人』(共著)(岩波新書)など。

◆学術講演要旨◆(島薗 先生より)
2022年7月8日の安倍元首相殺害事件以来、統一教会が大きな問題として関心を集めている。そもそもなぜ、多くの被害者を生むような宗教集団が大きな勢力をもって存続してきたのか。政治家がこうした集団と連携し支え合うような関係がなぜ生じたのか。このような「カルト」問題が生じるのはどうしてか。このように宗教が市民を脅かすようなことは日本に特殊なことなのか。現代社会において宗教はどのような役割を果たしうるのか。以上のような問題について学校でどのように学んでいくことができるのか、ともに考えていきたい。

岩波新書の『政治と宗教—統一教会問題と危機に直面する公共空間』、ちくま新書の『新宗教を問う』をのぞいていただけるとうれしいです。

 

令和4年度 第3回研究例会のご案内

大寒の候、先生方には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃より当研究会の活動のために格別のご支援とご高配を賜り、心より御礼申し上げます。

さて、都倫研では下記のように第3回研究例会を開催いたします。

内容としては、対話的な活動を盛り込んだ授業実践報告、さらに、倫理に本格導入される「哲学対話」に関する学術講演会を予定しています。万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

 

1.日 時

令和4年2月25日(土)13時00分~17時00分 (12:40より受付)

 

2.会 場

東京都立白鷗高等学校 西校舎 4階 視聴覚室

東京都台東区元浅草3—12-12
※東校舎ではございません。ご注意ください。
交通:都営大江戸線つくばEX  新御徒町駅から徒歩5分
東京メトロ銀座線 稲荷町から徒歩7分
東京メトロ日比谷線 仲御徒町駅から徒歩9分
JR山手線 御徒町駅から徒歩12分
JR・東京メトロ 上野駅から徒歩14分 

アクセスマップ | 都立白鷗高等学校・附属中学校

 

3.内 容
13:00~14:40 録画による公開授業及び研究協議
「「話し合い考える」授業の実践~学校設定科目「総合社会研究α」(6年(高3)を通して~」

東京大学教育学部附属中等教育学校

教諭 新海 太郎 先生

 

14:55~16:35 講演「哲学対話を用いた哲学、倫理、公民科の教育」

独立行政法人日本学術振興会特別研究員(PD)

堀越 耀介 先生

 

16:35~16:50  「葦名先生を偲んで」

 

16:50~16:55 事務連絡・閉会

 

4.お問い合せ
東京都高等学校「倫理」「公共」研究会 事務局
東京都立杉並高等学校  伊藤 昌彦

TEL 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767
E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

※本研究例会は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため、都立学校の先生方は「研修出張」でご参加可能です(半日の振り替えが付きます)。

 

※事前申し込みは不要です。当研究会は個人会費制となっておりますので、年会費未納の方は会費1,000円をご用意下さい(学生・院生無料)。

■録画による公開授業要旨■(新海先生より)
学校設定科目「総合社会研究α」は哲学や倫理、現代社会の諸問題を討論形式で考える6年生(高3)の選択科目です。「受験は平等か」「大人になるとは」「幸せ」「死」「投票義務化」「歴史」「ネット空間の言語」「自己と他者」「不死の薬」「アメリカの銃問題」など、1年間で40以上のテーマを扱いました。本授業はその最終回で、「「考えること、話し合うこと」を考える」というテーマで行いました。事前に生徒にレポートを提出させ、それを冊子にしたものを全員に配布し読んでくるよう指示してあります。1年間を通して、グループ議論と全体議論を繰り返してきましたが、その意義を生徒たち自身が考えるという構成です。①学んだ知識の活用、②相手を尊重した議論、③授業を楽しんでいるか、の三点を意識しています。みなさまからのご助言やご批判をもとに、こうした授業スタイルの可能性を考えられれば幸いです。

 

■講演講師プロフィール■堀越 耀介(ほりこし ようすけ)先生
東京大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。独立行政法人日本学術振興会特別研究員(PD/明治大学)。東京大学共生のための国際哲学研究センター(UTCP)上廣共生哲学講座特任研究員。哲学プラクティス/哲学対話の研究、教育哲学の研究を行う。著書に『哲学はこう使う : 問題解決に効く哲学思考「超」入門』(実業之日本社、2020年)、共著に『哲学対話と教育 (シリーズ臨床哲学 第5巻)』(寺田俊郎編、大阪大学出版会、2021年)など。論文に「シティズンシップ教育としての『子どもとする哲学(P4C)』――『民主的な教育』としての哲学対話を擁護する」(『倫理道徳教育研究』1(5) 17-33 2022年)、「探究の共同体における『思考』をどのように位置づけるべきか――子どもの哲学(P4C)の目的をめぐって」(『思考と対話』1(1) 23-33 2019年)、「哲学で開業する:哲学プラクティスが拓く哲学と仕事の閾」(『現代思想』50(10) 98-107 2022年)など。

 

■講演要旨■
現在、学校教育のみならず、企業や組織、街や公共施設などで「哲学対話(P4C/子どもとする哲学)」が大きな注目を集めています。高等学校においても、新学習指導要領で示されているように、科目「倫理」において哲学対話が導入されることとなりました。哲学対話を高校生とともに行うにあたり、その進行役を教員が務める場面も確実に増えていくように思われます。本講演では、哲学対話を用いた教育にかんする歴史・理論的背景のみならず、実践事例をもとに、哲学対話を進行する上で役立つ方法についてもお話しできれば幸いです。

令和4年度 冬季研究協議会について

都倫研では下記のとおり、令和4年度冬季研究協議会を開催いたします。校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。


1.日 時
令和4年12月26日(月)13:30~16:40

(13:15受付開始)

2.会  場
筑波大学附属駒場中・高等学校 50周年記念会館
〒154-0001 東京都世田谷区池尻4丁目7−1
電話 03-3411-8521

※文京区にある筑波大学附属高校とは別の学校です。
※会場は正門を入って右手方向、淡島通り沿いに建っている会館です。校舎とは独立しています。

〈交通〉

京王井の頭線駒場東大前」駅 西口より徒歩7分
東急田園都市線「池尻大橋」駅 北口より徒歩15分)
渋谷駅から[渋51]東急バス(渋谷-若林折返所)、
[渋54]小田急バス(渋谷-経堂)「駒場」下車 徒歩1分
(詳細は、同校ホームページをご覧ください)

www.komaba-s.tsukuba.ac.jp

3.内 容
13:15~ 50周年記念会館にて受付開始

13:30~14:50 「倫理」「公共」のための読書会
ニーチェ『反時代的考察』第3篇「教育者としてのショーペンハウアー
レポーター    開智日本橋中・高等学校 江藤信暁 先生
(同校哲学対話担当講師、上智大学博士課程)
参考図書    竹内綱史「求道と啓蒙―ニーチェにおける哲学と大学」『哲学と大学』99-119頁、未来社、2009
島健一『ニーチェ岩波書店、1987

15:00~15:45    実践発表(担当:かえつ有明中高三塚先生)
※その他実践を共有して下さる先生は資料配布だけになりますが、30部程度を目安に是非お持ち寄りください。

15:45~16:30    令和7年度共通テスト思考問題「公共」・「倫理」を考える
(担当:都倫研研究部)

16:30~16:45    事務連絡・閉会

※当研究会は、東京都教育委員会によって認定された教育研究普及事業認定団体です。

都立高校の先生方は「内国研修」でのご参加が可能です。

 

レポーターの江藤信暁先生からのコメント
 哲学者F.ニーチェは、今から180年近く前に現在のドイツで生まれました。著作にみられる挑発的な言葉づかいと、いくつもの印象的なエピソードとともに、彼の名前は多くの人に知れわたっています。そんな彼は、若くしてスイス・バーゼル大学に教授職を得たころには、ギムナジウム(大学進学を前提とし、古典語の教育を重視する高校)の教員も務めており、また、教育にまつわるテクストを執筆してもいました。彼の思索の基本的な関心には、人間形成(もしくは、ひとを陶冶すること)があったのです。今回とりあげる『反時代的考察』第三篇「教育者としてのショーペンハウアー」は、彼の他の著作(たとえば、同時期に執筆された『悲劇の誕生』など)に比べると知名度の低い著作ですが、彼の思索における関心を知るうえで重要なテクストです。この著作を中心にして彼の関心を探りつつ、他の著作や彼に影響を与えた哲学者についても触れることで、ともに理解を深め、日々の授業に何らかのかたちで資するものになることを願っています。

 

 

 

 

 

令和4年度 第2回研究例会のご案内

 都倫研では下記のように秋の研究例会を開催いたします。特別教室で空間を確保するなど開催校にご配慮いただき、久しぶりに直接の参観で公開授業を実施することとなりました。ご参加の際は、マスクの着用など基本的な感染対策をお願いいたします。校務ご多忙の折りとは存じますが、万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

 

1.日 時

令和4年11月25日(金) 

14時35分~17時35分(14:15より受付)

 

2.会 場

東京都立雪谷高等学校 多目的ホール

〒146-0085 東京都大田区久が原1丁目14番1号 

TEL:03-3753-0115
東急池上線御嶽山駅より徒歩8分
東急東横線「田園調布」駅から東急バス「雪谷文化センター」(徒歩5分)
JR京浜東北線「大森」駅から東急バス「久が原出世観音」(徒歩7分
(詳細は、同校ホームページをご覧ください)

アクセスマップ | 東京都立雪谷高等学校


3.内 容
14:15~ 受付開始 多目的ホール(1階)
14:35~15:25 公開授業(多目的ホール
「多面的・多角的な考察と動物の尊厳について」(2年7組「倫理」)
東京都立雪谷高等学校 教諭 百瀬 雅治 先生
マイクロソフト認定教育イノベーター 2022-2023)

15:30~15:50 公開授業についての研究協議
16:00~17:30 学術講演
「バイオ・情報テクノロジー革命時代に、「倫理」をどう考えるか?」
玉川大学 名誉教授 岡本 裕一朗 先生
17:30~17:35 事務連絡・閉会

※事前申し込みは不要です。
※本研究例会は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため、都立高校の先生方は「研修出張」でのご参加が可能です。
※当研究会は個人会費制です。年会費未納の方は会費1,000円をご用意下さい。
学生、大学院生は、年会費は不要です。

 

お問い合わせ先:東京都高等学校「倫理」「公共」研究会 事務局
東京都立杉並高等学校  伊藤 昌彦 

TEL 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767
E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

 

■公開授業について■(百瀬雅治先生より)
2022年度「マンガ大賞2022」大賞「ダーウィン事変」うめざわしゅんさん(講談社)と大学入試問題を題材に、現代における功利主義に関する課題について扱う。具体的には前授業で、教科書に記述されている「最大多数の最大幸福」について学ぶ。そして動物倫理に関する小論文をもとに、生徒1人一台端末を活用し、自己の考えを組み立てる。本時では、生徒それぞれの考えを比較検討するとともに、動物倫理に関する著作物等を読みとき、再度考察していく。その際に、他者の意見を知ることは、自己の考えを対比し、修正等していく過程であることを理解させ、現代社会における様々な事象に対する多面的・多角的な考察とは何かを考えさせる授業展開を考えている。


■学術講演講師プロフィール■
1954年生まれ。九州大学文学部助手を経て、玉川大学文学部教授。2019年に定年退職し、現在は名誉教授。博士(文学)。専門は西洋の近現代哲学・倫理学。哲学の特定の分野に限定せず、領域横断的な研究に携わっている。著書は、『哲学と人類』(2021年、文藝春秋社)『ポストヒューマニズム』(2021年、NHK新書)『アメリ現代思想の教室』(2022年PHP新書)、『これからの仕事になぜ哲学が必要なのか』(2022年、アルク)『いま世界の哲学者が考えていること』(2016年、ダイヤモンド社)『フランス現代思想史』(2015年、中公新書)他多数。

 

■学術講演要旨■(岡本裕一朗先生より)
 20世紀後半から始まったバイオテクノロジーと情報テクノロジーの革命的な進化によって、人間や機械に対する今までの理解が大きく変わりつつあります。こうした状況で、私たちが従来もっていた「倫理」の常識は、根本から揺らいでいます。新たなテクノロジーによって、私たちは今後、想定しなかった倫理的問題に直面することになりそうです。このとき、いったいどう考えたらいいのでしょうか。将来起こりそうないくつかを、思考実験として想定しながら、皆さんとご一緒に考えていこうと思います。皆さんからの活発なご意見を頂戴いたします。

日本心理学会のシンポジウムのご案内

日本心理学会のシンポジウムのご紹介です。

よろしければご覧ください。

 

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先生方

シンポに登壇いただきありがとうございます。
下記のURLで,9/8(木)正午から9/11(日曜)まで,動画を一般公開予定です。
関心のある方,団体,研究会などにもアナウンスいただければ幸いです。
どうかよろしくお願いします。

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[IS-013] 高校「倫理」における心理学教育の導入
――心理学者と哲学者の対話――
https://confit.atlas.jp/guide/event/jpa2022/static/IS013

企画:日本心理学会教育研究委員会 高校心理学教育小委員会,楠見 孝(京都大学),唐沢 かおり(東京大学
話題提供者:楠見 孝(京都大学),唐沢 かおり(東京大学),直江 清隆(東北大学),河野 哲也(立教大学
指定討論者:和田 倫明(東京都立産業技術高等専門学校
司会者:市川 伸一(東京大学

本シンポジウムは,学習指導要領の改訂に伴って,来年度からスタートする公民科「倫理」の中に,心理学の内容が従前以上に導入されることにあわせて行う企画である。シンポジウムでは,従来の公民科「倫理」の問題点を踏まえて,今後の新たな「倫理」教育に向けて,心理学者と哲学者が連携し,高校教員や高校生に向けて発信するための課題について対話することを目的とする。話題提供では,楠見が,企画趣旨とともに,公民科「倫理」の中に,導入された心理学の新たな内容とその背景,今後の期待と現状の課題について述べる。唐沢は,「倫理」教育において心理学を教える意義と課題,哲学・倫理学と心理学が連携する重要性について述べる。直江は,哲学・倫理学の立場から,「倫理」の教育において科学としての心理学がはたす役割への期待について述べる。河野は,授業方法としての哲学対話が「倫理」の内容の理解と思考の深まりにいかなる影響を与えるかについて論じる。そして,指定討論者として,和田が,
心理学分野が教育課程とともにどのように変遷してきたかを振り返りつつ,公民科教育の実践を踏まえて,それぞれの話題提供に即して今後の課題を整理する。最後に,登壇者相互の対話をおこないたい。

令和4年度 都倫研夏季研究協議会のご案内

都倫研では下記のとおり、令和4年度夏季研究協議会を開催いたします。校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。

1.日 時

令和4年8月22日(月)13:30~16:40(13:15受付開始)

2.会  場

東京都立上野高等学校 4階 視聴覚室 (地図はこちら

〒110-0007 東京都台東区上野公園10-14

電話 03-3821-3706

交通  JR山手線/京浜東北線上野駅公園改札より 徒歩13分

東京メトロ千代田線・根津駅より 徒歩6分

東京メトロ銀座線/日比谷線上野駅より 徒歩13分

JR線/京成線/舎人ライナー・日暮里駅より 徒歩13分

 

3.内 容 

(1) 13:30~14:45 「倫理」「公共」のための読書会
テキスト 鈴木大拙『禅と日本文化』(北川桃雄訳)、岩波書店岩波新書)1940年(1964年改版)

レポーター 東京都立上野高等学校   石浦 昌之 先生

【参考図書】
鈴木大拙『対訳 禅と日本文化』(北川桃雄訳) 講談社 2005年
鈴木大拙『新 禅と日本文化』(岩本明美訳) 能登印刷出版 2022年

 

(2) 14:55~16:25 新科目「公共」についての研修会
 「やってみよう思考実験」

いわゆる「思考実験」について、ご自身の実践をお持ち寄りください。
各自、授業用の教材プリント、試験問題などを45部ずつ、ご持参ください。
「思考実験」以外の実践をお持ち寄りいただいてもかまいません。
学生・院生の方も、教育実習の授業案や論文など、形式は問いませんので、
ぜひお気軽にお持ち寄り下さい。

 

(3) 16:30~16:40 事務連絡等

 

4.年会費 1,000円(当日受付)※今年度の総会で、当面の間、年会費は左記の通りとしました。
※当研究会は個人会員制です。ご参加には年会費を納入いただいております。
学生、大学院生は、年会費は不要です。

 

5.お問い合わせ  事務局 伊藤 昌彦

E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp
東京都立杉並高等学校   電話 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767
                                                            
  ※当研究会は、東京都教育委員会によって認定された教育研究普及事業認定団体です。
都立高校の先生方は「内国研修」でのご参加が可能です。

 

6.レポーターの石浦 昌之 先生からのコメント

新型コロナ感染拡大の最中の2020年11月に生誕150年を迎えた鈴木大拙。コロナ禍における政府や国民の反応を目の当たりにして、近代以降繰り返されてきた「日本とは何か」という問いが再び頭をもたげていたところに、今年3月には大拙の『禅と日本文化』新版の初めてとなる日本語訳が出版された。今回、読書会レポーターのお話を頂戴し、大拙の『禅と日本文化』を一つのヒントとして、日本の文化や思想、ひいては日本とは何かを、改めて考える機会を持てないか…と思った次第である。同郷の西田幾多郎に参禅を勧め、言葉にできない仏教の禅の精神を言葉により、しかも英語圏の人々に英文で伝えようとした大拙の業績は、とかく自画自賛になりがちな日本文化論客の中でもグローバルな視野を持ち得ているように思える。読書会では、『禅と日本文化』を手掛かりに、「公共」や「倫理」の学習に登場している、関連する先哲の思想も適宜取り上げながら、日々の授業に資する内容になればと思っている(よろしくお願い致します)。