先日はお暑い中、第1回研究協議会 総会にお越しいただきありがとうございました。
さて、都倫研では下記のとおり、令和5年度夏季研究協議会を開催いたします。校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。
1.日 時
令和5年8月16日(水)13:30~17:00(13:15受付開始)
2.会 場
東京都立井草高等学校 2階 会議室
〒177-0044 東京都練馬区上石神井2-2-43 電話 03-3920-0319
- 西武新宿線 上石神井駅より 徒歩10分(急行・準急停車)
- 上井草駅より 徒歩8分(各駅停車)
- 西武バス 石神井公園駅から荻窪駅行(井草高校前下車 徒歩1分)
- 西武バス 荻窪駅から石神井公園駅行(井草高校前下車 徒歩1分)
3.内 容
(1)13:30~14:50 「倫理」「公共」のための読書会
筑波大学大学院博士課程 勝俣 陸 先生
テキスト:ホルクハイマー,アドルノ『啓蒙の弁証法』徳永恂訳、岩波文庫、2007年
(2)15:00~15:45 実践報告
「“公共”に向けて倫理の授業を考える―進路多様校と通信制高校での授業実践―」
新宿山吹高等学校 中村 祥太 先生
<中村先生より>
教員7年目までに行ってきた、前任校の受験指導のない「倫理」の実践と、現在の通信制課程での「公共」「倫理」の実践について紹介し、今後の課題を整理して皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思います。
(3)15:55~16:55 公民科「観点別評価」についての研修会
- 観点別評価の状況・方法についての報告(都倫研 研究部より)
- 観点別評価に関する授業実践共有(お持ち寄りいただいた教材等を基に検討)
※いわゆる「観点別評価」について、ご自身の実践をお持ち寄りください。
ご用意いただける場合には、各自、たとえば振り返りシート、授業用の教材プリント、試験問題、評価基準のシートなどを30部ずつ、ご持参ください。
(個人情報の扱いにはご注意ください)
(4)16:55~17:00 事務連絡・閉会
4.年会費 1,000円(当日受付、本年度の第1回研究例会にて納入済みの方は不要)
※ご参加には年会費を納入いただいております。
学生、大学院生は、年会費は不要です。
5.お問い合わせ
事務局 伊藤 昌彦 E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp
東京都立杉並高等学校 電話 03-3391-6530 FAX 03-3398-3767
※当研究会は、東京都教育委員会によって認定された教育研究普及事業認定団体です。
都立高校の先生方は「内国研修」でのご参加が可能です。事前申し込みは不要です。
■「倫理」「公共」のための読書会(勝俣陸 先生より)■
高校倫理の内容を高校生に分かりやすく教えようとするあまり、実際に哲学書に書いてある内容から大きく外れる説明となったり、哲学書で議論されている内容の本質からずれてしまったりするケースが、YouTubeなどの「分かりやすい」メディアの台頭に伴って、後を絶たなくなっているように思います。
ホルクハイマーとアドルノの『啓蒙の弁証法』は、実際の授業で扱うのが最も難しい哲学書の一つだと思います。同書は1939年から1944年にかけて、フランクフルト学派の第一世代と呼ばれるホルクハイマーとアドルノが、ナチ•ドイツの迫害から逃れ、カリフォルニアで亡命生活を送っている最中に共同で執筆しました。「序文」で「なぜ人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の新しい野蛮状態へ落ち込んでいくのか」という問いを掲げ、西欧文明に対する鋭い批判を展開する『啓蒙の弁証法』は、巻頭論文の「啓蒙の概念」、その補論であるオデュッセウス論、サド論、さらに文化産業論、反ユダヤ主義論、断片集、の六つの部で成り立っています。今回の読書会では同書すべての内容の核となる「序文」と巻頭論文の「啓蒙の概念」を読解していきたいと思います。
『啓蒙の弁証法』それ自体を、あるいは同書の重要概念となる「啓蒙」や「弁証法」といった概念をどのように授業で扱うか、あるいは『啓蒙の弁証法』の知見から教師が何を学ぶことができるか、参加者の皆さんと討議できれば幸いです。
テキスト
・ホルクハイマー・アドルノ『啓蒙の弁証法』徳永恂訳、岩波文庫、2007年
サブテキスト
・上野成利他編著『『啓蒙の弁証法』を読む』岩波書店、2023年
・仲正昌樹『現代ドイツ思想講義』作品社、2012年
・細見和之『フランクフルト学派』中公新書、2014年