都倫研からのおしらせ

東京都高等学校公民科「倫理」「公共」研究会の情報をお伝えします。

平成30年度 第3回研究例会のご案内

1.日 時  平成31年2月4日(月)12時50分~17時30分
2.会 場  国立東京工業高等専門学校 専攻科棟(8棟)1階 マルチメディア教室
    〒193-0997 東京都八王子市椚田町1220-2
    交通 京王線「狭間」駅(準特急停車)下車 徒歩5分
            京王線めじろ台」駅(準特急停車)下車 徒歩15分
      (詳細は、同校HP・アクセス)
      https://www.tokyo-ct.ac.jp/school_summary/access/
3.内 容
      12:35  受付開始(マルチメディア教室前)

      12:50~14:20 公開授業(90分授業)
      「絵本を用いた哲学対話の授業」(予定)(第1学年「現代社会論」)
        国立東京工業高等専門学校 准教授 村瀬智之 先生

      14:30~15:40 学術講演第1部及び公開授業についての研究協議
      「「子どもの哲学」および哲学対話実践の意義とその背景について」
        国立東京工業高等専門学校 准教授 村瀬智之 先生

      15:50~17:20 学術講演第2部
        「倫理を「教える」ことの困難」
            千葉大学名誉教授 髙橋久一郎 先生

      17:20~17:30 事務連絡・閉会

※当研究会は東京都教育委員会が認定した教育研究普及団体です。
※事前申し込みは不要です。
※当研究会は個人会費制です。年会費未納の方は会費2,000円をご用意下さい(学生無料)。
※お問い合わせ先:東京都高等学校公民科「倫理」「現代社会」事務局
東京都立西高校   tel 03-3333-7771   fax 03-3247-1340
菅野功治(かんのこうじ)
                            E-mail kouji_Kanno@education.metro.tokyo.jp
■公開授業について■(村瀬智之先生より)
 本校は二学期制で後期最後の授業となります。絵本を用いた哲学対話を行う授業を見ていただきます。見ていただく、というよりは、実際の学生たちの対話に混ざって頂き、哲学対話の授業を体験して頂くかたちにしたいと思っています。周囲から「傍観者としてただ見ている」のは原則禁止としたいと思います。ですので、できれば最初からお越し頂き授業を御覧ください。また、途中参加の方は、テーマとなる絵本『ともだちや』(内田麟太郎(作)・降矢なな(絵)、偕成社)の内容を予めご覧頂いてご参加ください。(インターネットで内容はご覧いただけます。)
■学術講演第1部講師プロフィール■
村瀬智之(むらせ・ともゆき) 1980年生。千葉大学大学院人文社会科学研究科終了。博士(文学)。東京都の公立中学校・高等学校の非常勤講師等を経て、現在、東京工業高等専門学校一般教育科准教授。
共著、分担執筆に、『この世界のしくみ 子どもの哲学2』(河野哲也、土屋陽介、神戸和佳子、松川絵里との共著)、毎日新聞出版、2018年。「どうすれば授業で考えることができるのだろうか」、『高校倫理の古典でまなぶ 哲学トレーニング1』(直江清隆編著)、岩波書店、2016年等。監訳に、デイビッド・ホワイト『教えて!哲学者たち-子どもとつくる哲学の教室(上)(下)』(上田勢子・山岡希美訳)、大月出版、2016年。
また、近刊として、都倫研の『「公共の扉」をひらく授業事例集』(東京都高等学校公民科「倫理」「現代社会」研究会編、清水書院、2018年)に「「公共」の新しい授業方法と評価」を書かせて頂いた。

■学術講演第1部講演内容■(村瀬智之先生より)
演題:「「子どもの哲学」および哲学対話実践の意義とその背景について」
内容:新学習指導要領でも注目されている哲学的な議論手法として「子どもの哲学(Philosophy for Children)」を取り上げ、その概観、理論や意義について、特に日本国内での受容や教育現場における応用を中心にとりあげ検討する。
■学術講演第2部講師プロフィール■
高橋久一郎(たかはし・きゅういちろう)1953年生。東京大学教養学部教養学科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程中退。山形大学人文学部助教授、千葉大学文学部教授を経て、現在千葉大学名誉教授。ギリシア哲学・現代倫理学
著・編・監訳書に『応用倫理学の転換』(ナカニシヤ書店)、『岩波応用倫理学講座7 問い』(岩波書店)、『アリストテレス 何が人間の行為を説明するのか?』(NHK出版)、フィリッパ・フット『人間にとって善とは何か?』(筑摩書房)、『アリストテレス全集2 (分析論後書)』(岩波書店)など。

■学術講演第2部講演内容■(髙橋久一郎先生より)
演題:「倫理を「教える」ことの困難」
内容:現代社会は、自分が生まれた「共同体」で成長することが、ほぼそのまま大きな「生き方」の枠組みとしての倫理を学び身につけることでありえたギリシア世界からはかなり遠く隔たってしまった。現代においては、一方では「生き方」はさまざまであることを認めながら、他方では、典型的には「忖度」をはじめとした、かなりの強制が働いている。いわゆる「相対主義」が、現代においては、単に知的に興味深い立場である以上に、ある場合には「正当なことに」、そしてある場合には(自らの立場を「絶対化」するために)「不当にも」、具体的な問題との関わりで主張されており、むしろ主流であるとさえ言えるかもしれない。私は、最も根本的な場面では「相対主義」は誤りであると考えているが、それだけに扱いが困難である。この問題を、村瀬氏の提題との関わりをつけながら考えてみたい。