都倫研からのおしらせ

東京都高等学校公民科「倫理」「公共」研究会の情報をお伝えします。

令和6年度 第2回研究例会のご案内

都倫研では下記のように秋の研究例会を開催いたします。

「倫理」の公開授業とともに、マルクス研究者の的場先生をお招きしての学術講演を実施することとなりました。

校務ご多忙の折りとは存じますが、万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

1.日 時

令和6年11月25日(月) 13時25分~17時20分(13:00より受付)


2.会 場

東京都立園芸高等学校
〒158-0081 東京都世田谷区深沢5-38-1 TEL:03-3705-2154
交通 東急大井町線 等々力駅下車 徒歩15分
東急バス:渋谷駅or梅ヶ丘駅or成城学園前駅行き、園芸高校前下車(徒歩3分)
東急田園都市線 桜新町駅下車 徒歩20分
東急バス:目黒駅または都立大学駅北口行き、日本体育大学前下車(徒歩5分)
詳しくは、こちら

アクセスマップ | 東京都立園芸高等学校 | 東京都立学校

3.内 容

13:00~ 受付開始

13:25~15:15 公開授業

マルクス思想から現代社会の諸問題を考える」(3 年選択「倫理」)

東京都立園芸高等学校 堀 良輔 先生

15:25~15:45 公開授業についての研究協議

15:50~17:20 学術講演

 「マルクス研究から現代社会を読む―資本主義の終焉と未来について」

神奈川大学 名誉教授 的場 昭弘 先生

17:20~17:25 事務連絡・閉会

  • 事前申し込みは不要です。6限(14:25)からのご参加等も可能です。
  • 本研究例会は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため、都立高校の先生方は「研修出張」でご参加ください。
  • 当研究会は個人会費制です。年会費未納の方は会費1,000円をご用意下さい。
  • 学生、大学院生は、年会費は不要です。

4.問い合わせ

東京都高等学校「倫理」「公共」研究会 事務局

東京都立杉並高等学校 伊藤 昌彦 TEL 03-3391-6530 FAX 03-3398-3767

 E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

 

■公開授業について■(堀良輔先生より)

わが国では、我々教員の「働き方改革」の必要性が叫ばれて久しい。また教員以外の様々な職業においても、「ブラック労働」「過労死」といった労働に関するマイナスな言葉が飛び交ったり、実際に厳しい環境に置かれたりしている人々は多い。高校生にとっても、「ブラックアルバイト」といったワードが身近なものに感じられる現状もある。
授業ではこれら労働問題に関する新聞記事を読んだり、自身の経験も踏まえたりしながら、「労働」に対して生徒がもっているイメージを一度可視化したうえで、マルクスの思想に触れていく。マルクスの思想を学習する中で、マルクスが「労働」をどう捉えていたのか考察したり、その過程で資本主義の歴史、社会主義の歴史について理解したりすることを目指す。マルクスの指摘した資本主義に関する矛盾や課題は『資本論』出版から150年以上経過した現代においても生じている。これに対してマルクスならどう考えるか、そして今を生きる生徒自身はどう考えるのか。マルクスの思想に触れながら、労働や資本主義に関する話題を中心に現代社会の諸問題について考える授業を目指したい。

■学術講演講師プロフィール■

神奈川大学名誉教授。1952 年生まれ、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。おもな著書『超訳 資本論』全 3 巻、祥伝社新書。『ネオ共産主義論』光文社新書、2004。『今こそ「社会主義」』朝日新書池上彰氏との共著)。『復権するマルクス』(角川新書)。『カール・マルクス入門』作品社。他多数。訳書 カール・マルクス『新訳 共産党宣言』『新訳初期マルクス』『新訳哲学の貧困』(以上 作品社)

■学術講演要旨■(的場昭弘先生より)

21 世紀現在、世界は大きく変化しつつあります。20 世紀第二次大戦後成立したアメリカを中心
とする資本主義体系が、大きな変化を受けつつあるのです。アメリカは西欧が生み出した資本主
義の中心的存在でしたが、今やアジア・アフリカなどの後発の資本主義からの挑戦を受け、きわめて厳しい状態にあります。先進国での経済不況、貧困、戦争は、今後どうなるのか。資本主義はどう変容していくのか。一方で 19 世紀に生まれた社会主義共産主義運動、そしてマルクスの資本主義の分析があります。現在はこの予測とどう関係していて、どう異なっているのか。また未来社会は、どこへ進むのか。そのあたりを中心にお話したいと考えています。
現在 2024 年の世界を知るためにも、是非参考書としてあげました、最近の著作をお読みいただくことをお勧めいたします。それと東洋経済オンライン版に隔週で書いています私の記事をごらんください。

的場 昭弘 | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース


参考著書:
的場昭弘『21 世紀世界史講義―恐慌、パンデミック、戦争』日本実業出版社、2024 年

令和6年度 都倫研夏季研究協議会のご案内

都倫研では下記のとおり、令和6年度夏季研究協議会を開催いたします。 校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。

日 時

令和6年8月9日(金)13:20~17:00(12:45受付開始)

会 場

東京都立新宿山吹高等学校 3階 大講義室 

アクセスマップ | 東京都立新宿山吹高等学校 | 東京都立学校

〒162-8612 東京都新宿区山吹町81番地 電話 03-5261-9771

内容

  1.  13:20~14:40 「倫理」「公共」のための読書会
    テキスト:浅田彰『構造と力(中公文庫)』 中央公論新社、 2023 年
    東京都立西高等学校 菅野 功治 先生
  2. 14:50~15:15 「公共の扉」を生かす授業実践の発表
    事例「どうして人間は働くのだろうか?(雇用と労働問題)」
    東京都立飛鳥高等学校 宇田 尚人 先生
    *『「公共の扉」を生かした13 主題の授業事例集』(清水書院)から、授業事例を取り上げて検討します。購入済みの方はご持参下さい。(当日、会場でも販売します)
  3. 15:25~16:55 講演「大学の社会科・公民科教育法が抱える重たい課題」
    目白大学都留文科大学東京外国語大学東京大学 非常勤講師 村野 光則 先生
  4. 16:55~17:00 事務連絡・閉会

※本研究協議会 は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため 、都立学校の先生方は 「 研修出張 」でのご参加が可能 です 。事前申し込みは不要です。

年会費

1,000円(当日受付、本年度の第1回研究例会にて納入済みの方は不要)
※ご参加には年会費を納入いただいております。学生、院生は、年会費は不要です。

 

■「倫理」「公共」のための読書会について(菅野先生より)■
83年出版当時、実存主義vs構造主義の位相で物事を考えていた自分(報告者)を置き去りにしていった本書が提示した方向性は、ドゥルーズガタリに影響を与えたラカンを、超自我を前提としたフロイト精神分析を超え出た視点をもったものと高く評価し、ドゥルーズガタリについては『アンチ・エディプス』と『ミル・プラトー』の序章である「リゾーム」に注目し、そこから「遊戯」やスキゾ・フレニックな「逃走」に結びつけることで、「構造」から脱出し、「力」の散乱を目指すポスト構造主義思想の代表として紹介するというものでした。その出版から40年ということで文庫化されたのを機に、希望の生徒たちと読書会を始めましたが、「コンプライアンス」重視、新自由主義の現代を生きる生徒たちは「構造」から抜け出すというイメージ自体を持ちづらくなっているようで、生成変化や「力」の散乱を無秩序で危険なものと考える生徒すらいるようです。
今回は文庫本でページ等を示しますが、単行本でも内容は変わりません。文庫本に新しくついた千葉雅也氏の解説は簡潔で要を得ておりますが。忙しい方も、第1章と第6章を読まれると大筋は掴めると思います。ドゥルーズを読んでみたい方は、『差異と反復』の第3章「思考のイメージ」から入るのが王道で、『千のプラトー』の序章「リゾーム」を読めばドゥルーズガタリの雰囲気が分かると思います。

テキスト:浅田彰『構造と力(中公文庫) 』 中央公論新社、2023 年

浅田彰『構造と力』勁草書房、 1983 年)


■講演について(村野先生より)■
複数の大学で数年間にわたって社会科・公民科教育法を担当していますが、そこで見えてきたのは(1)社会科・公民科教員養成の最重要講座でありながら、その内容はすべて担当教員(元教員)に委ねられていること、(2)受講する学生の多くが進学校出身者で、対話型の授業や考えさせる授業を受けた経験がないため、「主体的・対話的な深い学び」や「思考力・判断力・表現力の育成」がどういうことなのかがまったくわからないこと、(3)中学公民分野・高校公共の教科書の内容がほぼ同じだけでなく、数十年ほとんどアップデートされておらず、抽象概念ばかりで生徒の脳の発達段階がまったく考慮されていないこと(いかに教えるかばかりで、なぜそれを教えるのかがまったく省みられていないこと)などです。今回は私の授業の一端と、こうした大学の社会科・公民科教育法の抱える重たい課題について報告させていただきます。

 

お問い合わせ

事務局 伊藤 昌彦

東京都立杉並高等学校

E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

電話 03-3391-6530 FAX 03-3398-3767

令和6年度 都倫研総会ならびに第1回研究例会のお知らせ

令和6年度 総会並びに第1回研究例会のご案内

 都倫研では下記の通り令和6年度総会並びに第1回研究例会を開催いたします。校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。

1.日 時  令和6年6月15日(土)13:30~17:00

                  (13:00受付開始 第二校舎視聴覚室前)
2.会  場  東京都立墨田川高等学校 第二校舎 1階の視聴覚室
 ※ 会場は、グランドのある広い敷地(第一校舎)とは反対側の三階建ての建物です。

  会場の第二校舎に直接お越しください。
      〒131-0032 東京都墨田区東向島三丁目34番14号  電話 03-3611-2125
   交通  東武スカイツリーライン 東向島駅から徒歩5分 東武曳舟駅から徒歩6分
   京成押上線       京成曳舟駅から徒歩8分
   都営バス         東向島広小路から徒歩2分 百花園前から徒歩4分
3.内 容 

 (1) 13:30~14:00 総会
 (2) 14:10~15:10 記念講演
    演題「高等学校公民分野の教育をめぐる『総合』と『分化』の相克」
            東京都立墨田川高等学校 坂口克彦(さかぐちかつひこ)先生
*社会科「現代社会」時代から公民科設置と「公共」登場までの激動の約40年を社会科教育学的に分析し、その節目節目でどんな授業実践を試みたのかを振り返ります。
 (3) 15:20~16:50 学術講演
 演題「ケアの倫理から法における人間像を問い直す」
            山形大学教授 池田弘乃(いけだひろの)先生
 (4) 16:50~ 事務連絡
4.年会費 1,000円(当日受付)
 ※当研究会は個人会員制です。ご参加には年に一度会費を納入いただいております。
  学生、大学院生については、年会費は不要です。
5.お問い合せ  事務局  伊藤 昌彦
東京都立杉並高等学校   電話 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767
                             E-mail  Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp
※本研究例会は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため、都立学校の先生方は「研修出張」でのご参加が可能です。


◆学術講演講師プロフィール◆(池田先生)
山形大学人文社会科学部教授。専攻は法哲学ジェンダーセクシュアリティと法。東京大学法学部卒、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学。都留文科大学等の非常勤講師を経て現職。主な著作に『ケアへの法哲学——フェミニズム法理論との対話』(ナカニシヤ出版、2022年)、『クィアと法——性規範の解放/開放のために』(共編、日本評論社、2019年)「「結婚でないもの」とは何か」(『法と哲学』9号、2023年)、「社会の中の性別と法的性別——令和5〔2023〕年10月25日最高裁大法廷決定に寄せて(有斐閣Onlineロージャーナル、2024年)等がある。


◆学術講演要旨◆(池田先生より)
近代法の下では、人間は皆自由で平等な存在であるとされる。しかしこの理念とは裏腹に、近代当初に社会を構成する「一人前」の存在(市民)とされたのは、一部の人間、すなわち「財産と教養を保有する健常な成年男性」のみだった。近現代史とは、一部の者に限定されていた市民の地位が、多様な存在(労働者、女性、障害者等々)に開放されていく過程であったとみることもできるだろう。この過程では、市民概念の内実自体も根底的な問い直しにさらされてきた。その問い直しの一つとして、人間の相互依存の事実を重く受け止める「ケアの倫理」の考えを参照しながら、法が前提とする人間像・市民像を再考し、現代法の今後について展望してみたい。

 

令和5年度 第3回研究例会のご案内

都倫研では下記の通り、冬の研究例会を開催いたします。

新課程で実施されている「倫理」の公開授業とともに、政治哲学・政治理論の研究者をお招きしての学術講演を実施することとなりました。

校務ご多忙の折りとは存じますが、万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお
願い申し上げます。

1.日 時 令和6年1月29日(月) 13時50分~17時00分(13時30分受付開始)
2.会 場 東京都立六本木高等学校
〒106-0032 東京都港区六本木6-16-36 TEL:03-5411-7327

東京メトロ日比谷線都営地下鉄大江戸線六本木駅徒歩7~11分
東京メトロ南北線都営地下鉄大江戸線麻布十番駅徒歩9分
(詳細は、同校ホームページをご覧ください)
https://www.metro.ed.jp/roppongi-he/access/access.html

 

3.内 容
13:30~ 受付開始
13:50~15:20 学術講演 「ロトクラシー:くじ引きで国会議員を選ぶ」
日本学術振興会特別研究員(PD)/駒澤大学非常勤講師 山口 晃人 先生
15:35~16:20 公開授業 「社会契約説」(「倫理」) 東京都立六本木高等学校 松島 美邦 先生
16:30~16:50 公開授業についての研究協議
16:50~17:00 事務連絡・閉会

 

※事前申し込みは不要です。
※本研究例会は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動です。
都立高校の先生方は「研修出張」でのご参加が可能です。
※当研究会は個人会費制です。年会費未納の方は会費1,000円をご用意下さい。
学生、大学院生は、年会費は不要です。
お問い合わせ先:東京都高等学校「倫理」「公共」研究会 事務局
東京都立杉並高等学校 伊藤 昌彦 TEL 03-3391-6530 FAX 03-3398-3767
E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

 

■公開授業について■(松島美邦先生より)
本校は「定時制」「三部制」「単位制」「総合学科」などの特徴を備える、東京都における「チャレンジスクール」です。通学に課題を覚える生徒や、実践的な学びを期待する生徒など、さまざまな生徒を、多芸多才な先生方が、都内トップのバリエーションを誇るさまざまな講座をもって迎え、共に学んでいます。
この学校で、各自の課題を乗り越えようとする生徒たちと、どんな「公共」「倫理」「政治・経済」の授業を実現できるのか、いかに現代社会の諸課題や哲学的問いに共に立ち向かうのか、「哲学カフェ」や教育相談などにも取り組みながら、試行錯誤しております。今回、山口先生のご研究を参考に、政治哲学に相当する単元を取り上げます。私の授業は拙いですが、定時制またはチャレンジスクールで、新課程の公民科の授業をいかにつくっていくか、お考えいただく機会となれば幸いです。
本校は単位制ゆえに、受講生の多くは、本気で「倫理」について学びたい、考えたいと思って受講してくれています。そのような生徒たちが学ぶ姿をご覧いただけたなら、嬉しいです。

 

■学術講演講師プロフィール■
山口晃人(やまぐち あきと)日本学術振興会特別研究員(PD)/駒澤大学非常勤講師
1995 年東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻修了。博士(学術)。専門は、政治哲学・政治理論(代表制民主主義論)。ロトクラシー(抽選制議会)をはじめ、子どもの参政権やエピストクラシー(知者による支配)など、既存の代表制民主主義の代替案を研究している。論文に「ロトクラシー : 籤に基づく代表制民主主義の検討」(『政治思想研究』第20 号)、「子どもの参政権の政治哲学的検討——智者政批判との関係から——」(『年報政治学』第72(2)号)など。

■学術講演要旨■(山口先生より)
ポピュリズムが台頭し、「代表制の危機」が叫ばれる現在、立法議会の改革は急務である。本講演では、選挙制議会に代わる立法制度として、立法府の代表者を有権者からの無作為抽出によって選ぶロトクラシー(抽選制議会)を検討する。富裕層、世襲議員、中高年男性に占められる既存の選挙制議会とは異なり、ロトクラシーの議会は「人口の縮図」を実現することで、より適切に民意を反映できると考えられる。ロトクラシーが注目される背景を含め、その是非について考えたい。

 

参考資料:

くじ引きで国会議員に? 「ロトクラシー」というオルタナティブ(山口 晃人) | 現代新書 | 講談社(1/6)


議員は抽選で選べるか?――代表制デモクラシーを政治哲学の観点から問い直す【山口晃人】 | ガクモンのめ | せかいしそう

令和5年度 冬季研究協議会のご案内

 令和5年12月1日

令和5年度 冬季研究協議会のご案内

都倫研では下記のように冬の研究協議会を開催いたします。今回は,「公共」の実践事例発表とともに,新課程「倫理」の心理学分野について,その学習指導に寄与すべく学術講演等を実施することとなりました。学期末でご多用の折りとは存じますが,万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

1.日 時  令和5年12月26日(火) 13時30分~17時05分(13:15より受付)

2.会 場  東京都立井草高等学校 2階 会議室 (地図はこちら

       〒177-0044 東京都練馬区石神井2-2-43   電話 03-3920-0319

           交通  西武新宿線 上石神井駅より 徒歩10分(急行・準急停車)

           上井草駅より  徒歩8分(各駅停車)

              西武バス  石神井公園駅から荻窪駅行 井草高校前下車 徒歩1分

          荻窪駅から石神井公園駅行   同

3.内 容

13:15~ 受付開始 

13:30~14:10 「公共の扉」を生かした授業事例の発表

  事例 ①「AIの進化と職業選択」   東京都立稔ヶ丘高等学校 照井 恒衛 先生

  事例 ②「ワクチンのグローバルな分配に向けた国際協力のあり方とは?」

筑波大学附属駒場中学・高等学校 山本 智也 先生

*『「公共の扉」を生かした13主題の授業事例集』(清水書院)から,授業事例を取り上げて検討します。購入済みの方はご持参下さい。(当日,会場でも販売します)

14:20~15:20   新課程「倫理」心理学分野から考える(報告:都倫研研究部)

15:30~17:00   学術講演「心理学教育への期待—パーソナリティ心理学の観点から—」

早稲田大学 教授 小塩 真司 先生

17:00~17:05   事務連絡・閉会

※当研究会は,東京都教育委員会によって認定された教育研究普及事業認定団体です。

都立高校の先生方は「内国研修」でのご参加が可能です

※当日参加できますが,参加人数の把握のため,12月23日(土)までに,

次のフォームにご入力ください。(https://forms.gle/pQ4gtVKkAjC4o4Ep9

※当研究会は個人会費制です。年会費未納の方は会費1,000円をご用意下さい。

学生,大学院生は,年会費は不要です。

お問い合わせ先:東京都高等学校「倫理」「公共」研究会 事務局

東京都立杉並高等学校  伊藤 昌彦 TEL 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767

                             E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

■研究部報告について■(都倫研研究部より)

 新課程「倫理」の教科書をみると,心理学の分野での新出語句が多くなっている。認知心理学や感情心理学など,これまでの発達心理学精神分析,青年期の心理学の内容とは様変わりしている。さらに,各教科書会社により取り上げる内容が異なる。そこで,新旧の教科書すべてについて,その内容(太字語句や取り上げている人物)の比較・分析を試みる。心理学を専門としていない教師が,心理学分野をどのように教えていくことができるかを検討し,授業実践に資する報告を目指す。

(報告者:東京都立西高等学校 菅野功治,東京都立墨田川高等学校 永田えり夏,かえつ有明中学・高等学校 古賀裕也,東京都立六本木高等学校 松島美邦,東京都立井草高等学校 杉浦光紀(敬称略))

■学術講演講師プロフィール■

 小塩真司(おしお・あつし)1972年愛知県生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科博士課程後期課程修了。中部大学講師,助教授,准教授を経て,2012年より早稲田大学文学学術院准教授。2014年より同教授。専門はパーソナリティ心理学,発達心理学。著書に『性格とは何か』(中央公論新社),『性格がいい人,悪い人の科学』(日本経済新聞出版社),『Progress & Applicationパーソナリティ心理学』(サイエンス社),『性格を科学する心理学のはなし』(新曜社),『パーソナリティ・知能 キーワード心理学11』(新曜社,共著),『非認知能力:概念・測定と教育の可能性』(北大路書房,編著)など。

■学術講演要旨■(小塩真司先生より)

 新課程の高校倫理のなかで,心理学が大きく取り上げられることになりました。心理学は日常の我々の生活の中でのふるまいについて多くの洞察を与えてくれる学問であるとともに,一般的に文系の学問でありつつも,科学的な研究手法を組み合わせた方法論を持つ学問でもあります。心理学の研究領域は多岐にわたります。その中でも,すべての人間において一般的な法則を導き出そうとする研究領域と,個々人の差や違いに焦点を当てた研究領域があります。ただし,個々人の差に焦点を当てたとしても,その差を導く背景には一般法則が介在しています。今回は特に,個々人の差について検討するパーソナリティ心理学を中心として,研究の概説や高校で学んでほしいことなどについて考えていきたいと思います。

『性格とは何か』(中央公論新社),『非認知能力:概念・測定と教育の可能性』(北大路書房,編著)をお手にとっていただけると参考になるかと思います。

 

※研究会の活動については都倫研ホームページ http://www.torinken.org/

ならびに,都倫研ブログ https://torinken.hatenablog.com/ をご覧下さい。

東京都高等学校「倫理」「公共」研究会編著 新科目「公共」「公共の扉」を生かした   13主題の授業事例集 発刊のお知らせ

『新科目「公共」「公共の扉」を生かした   13主題の授業事例集』が発刊されました。

 

当研究会が2018年に発刊した大項目A「公共の扉」の実践事例集、『新科目「公共」「公共の扉」をひらく授業事例集』(https://www.shimizushoin.co.jp/books/view/148)

の続編にあたります。

高校「公共」の学習指導要領に示されている13の主題に応じた授業テーマ25を設定し、指導のねらいや授業の要点をまとめております。

探究課題やまとめにすぐ使える図や資料、ワークシート(ホームページからダウンロード可)などもございますので、ぜひご一読ください。

 

詳細はこちら

shimizushoin.co.jp

令和5年度 第二回研究例会のご案内

5都倫研第3号

 令和5年10月4日

公民科教諭 殿

地理・歴史科教諭 殿

東京都高等学校 「倫理」「公共」研究会

                                会長  渡邊 範道

                                                    (東京都立墨田川高等学校長)

 

令和5年度 第2回研究例会のご案内

 

  清秋の候、先生方には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃より当研究会の活動のために格別のご支援とご高配を賜り、心より御礼申し上げます。

  さて、都倫研では下記のように秋の研究例会を開催いたします。旧課程で最後となる必修「倫理」の公開授業とともに、教育社会学の本田先生をお招きしての学術講演を実施することとなりました。校務ご多忙の折りとは存じますが、万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

 

 

1.日 時  令和5年10月23日(月) 14時20分~17時25分(14:00より受付)

 

2.会 場  東京都立小川高等学校

〒194-0003 東京都町田市小川2-1002-1 TEL:042-796-9301

交通 JR横浜線成瀬駅より徒歩5分

     (詳細は、同校ホームページをご覧ください)

                    https://www.metro.ed.jp/ogawa-h/access/access.html

 

3.内 容

14:00~ 受付開始

14:20~15:10 公開授業

実存主義と自己責任論について」(3年7組「倫理」)

東京都立小川高等学校 別木 萌果 先生

15:20~15:40 公開授業についての研究協議

15:50~17:20 学術講演

  「日本社会の変容と課題:メリトクラシーを弱毒化するために」

東京大学 教授 本田 由紀 先生

17:20~17:25 事務連絡・閉会

 

※事前申し込みは不要です。

※本研究例会は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため、都立高校の先生方は「研修出張」でのご参加が可能です。

※当研究会は個人会費制です。年会費未納の方は会費1,000円をご用意下さい。

学生、大学院生は、年会費は不要です。

 

お問い合わせ先:東京都高等学校「倫理」「公共」研究会 事務局

東京都立杉並高等学校  伊藤 昌彦 TEL 03-3391-6530   FAX 03-3398-3767

                             E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

 

■公開授業について■(別木萌果先生より)

実存主義とは「生きる道を自分で切り開く、今ここにあるひとりの人間の現実存在としての自分のあり方」を求める思想である。主体性が求められる現代において、重要な考え方であるだろう。一方で、実存主義者の一人であるサルトルの思想「人間は自由の刑に処せられている」は近年の自己責任論とも結びつくのではないだろうか。

本校の3学年は全員倫理を必修科目として履修しているが、誰も受験で倫理を選択しない点、毎回の授業でディスカッションを多く取り入れている点に特色がある。2学期以降は近代以降の哲学史を現代の諸課題と絡めて扱ってきた。しかし、差別や格差について議論する際に「格差があるのはわかったけど、仕方ないと思う」「差別があるのはわかるけど、なくすのは難しいし大変だから現状のままでいいと思う」といった現状を追認する生徒も多い。本授業では、「収入減によって大学を中退するのは自己責任?」といった問いから、実存主義や自己責任論を批判的に検討することを目指したい。

 

 

■学術講演講師プロフィール■

 本田由紀(ほんだ・ゆき)東京大学大学院教育学研究科教授/日本学術会議連携会員

東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。日本労働研究機構研究員、東京大学社会科学研究所助教授等を経て、2008年より現職。専門は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行う。主な著書に、『若者と仕事』(東京大学出版会)、『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版、第6回大佛次郎論壇賞奨励賞)、『「家庭教育」の隘路』(勁草書房)、『軋む社会』(河出文庫)、『教育の職業的意義』(ちくま新書)、『学校の「空気」』(岩波書店)、『もじれる社会』(ちくま新書)、『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書)など。

 

 

■学術講演要旨■(本田由紀先生より)

 90年代以降、経済の低迷、少子高齢化と人口減少、困窮層の蓄積と世代間連鎖、著しいジェンダー不平等など、日本社会には様々な機能不全が顕在化している。その底流にあるのは、社会・政治・人間に関する特定の考え方・感じ方である。マクロな社会構造と、ミクロな人々の意識が相互に連関し合って現状を生み出してきたプロセスを、国際比較や長期推移に関する諸データから読み解くことを試みる。

参考著書:本田由紀『「日本」ってどんな国?』(ちくまプリマー新書、2021年)

      本田由紀『社会を結びなおす』(岩波ブックレット、2014年)