都倫研からのおしらせ

東京都高等学校公民科「倫理」「公共」研究会の情報をお伝えします。

令和6年度 都倫研夏季研究協議会のご案内

都倫研では下記のとおり、令和6年度夏季研究協議会を開催いたします。 校務ご多用のところとは存じますが、ぜひご出席下さいますようご案内申し上げます。

日 時

令和6年8月9日(金)13:20~17:00(12:45受付開始)

会 場

東京都立新宿山吹高等学校 3階 大講義室 

アクセスマップ | 東京都立新宿山吹高等学校 | 東京都立学校

〒162-8612 東京都新宿区山吹町81番地 電話 03-5261-9771

内容

  1.  13:20~14:40 「倫理」「公共」のための読書会
    テキスト:浅田彰『構造と力(中公文庫)』 中央公論新社、 2023 年
    東京都立西高等学校 菅野 功治 先生
  2. 14:50~15:15 「公共の扉」を生かす授業実践の発表
    事例「どうして人間は働くのだろうか?(雇用と労働問題)」
    東京都立飛鳥高等学校 宇田 尚人 先生
    *『「公共の扉」を生かした13 主題の授業事例集』(清水書院)から、授業事例を取り上げて検討します。購入済みの方はご持参下さい。(当日、会場でも販売します)
  3. 15:25~16:55 講演「大学の社会科・公民科教育法が抱える重たい課題」
    目白大学都留文科大学東京外国語大学東京大学 非常勤講師 村野 光則 先生
  4. 16:55~17:00 事務連絡・閉会

※本研究協議会 は、東京都教育委員会が認定した研究推進団体の研究普及活動であるため 、都立学校の先生方は 「 研修出張 」でのご参加が可能 です 。事前申し込みは不要です。

年会費

1,000円(当日受付、本年度の第1回研究例会にて納入済みの方は不要)
※ご参加には年会費を納入いただいております。学生、院生は、年会費は不要です。

 

■「倫理」「公共」のための読書会について(菅野先生より)■
83年出版当時、実存主義vs構造主義の位相で物事を考えていた自分(報告者)を置き去りにしていった本書が提示した方向性は、ドゥルーズガタリに影響を与えたラカンを、超自我を前提としたフロイト精神分析を超え出た視点をもったものと高く評価し、ドゥルーズガタリについては『アンチ・エディプス』と『ミル・プラトー』の序章である「リゾーム」に注目し、そこから「遊戯」やスキゾ・フレニックな「逃走」に結びつけることで、「構造」から脱出し、「力」の散乱を目指すポスト構造主義思想の代表として紹介するというものでした。その出版から40年ということで文庫化されたのを機に、希望の生徒たちと読書会を始めましたが、「コンプライアンス」重視、新自由主義の現代を生きる生徒たちは「構造」から抜け出すというイメージ自体を持ちづらくなっているようで、生成変化や「力」の散乱を無秩序で危険なものと考える生徒すらいるようです。
今回は文庫本でページ等を示しますが、単行本でも内容は変わりません。文庫本に新しくついた千葉雅也氏の解説は簡潔で要を得ておりますが。忙しい方も、第1章と第6章を読まれると大筋は掴めると思います。ドゥルーズを読んでみたい方は、『差異と反復』の第3章「思考のイメージ」から入るのが王道で、『千のプラトー』の序章「リゾーム」を読めばドゥルーズガタリの雰囲気が分かると思います。

テキスト:浅田彰『構造と力(中公文庫) 』 中央公論新社、2023 年

浅田彰『構造と力』勁草書房、 1983 年)


■講演について(村野先生より)■
複数の大学で数年間にわたって社会科・公民科教育法を担当していますが、そこで見えてきたのは(1)社会科・公民科教員養成の最重要講座でありながら、その内容はすべて担当教員(元教員)に委ねられていること、(2)受講する学生の多くが進学校出身者で、対話型の授業や考えさせる授業を受けた経験がないため、「主体的・対話的な深い学び」や「思考力・判断力・表現力の育成」がどういうことなのかがまったくわからないこと、(3)中学公民分野・高校公共の教科書の内容がほぼ同じだけでなく、数十年ほとんどアップデートされておらず、抽象概念ばかりで生徒の脳の発達段階がまったく考慮されていないこと(いかに教えるかばかりで、なぜそれを教えるのかがまったく省みられていないこと)などです。今回は私の授業の一端と、こうした大学の社会科・公民科教育法の抱える重たい課題について報告させていただきます。

 

お問い合わせ

事務局 伊藤 昌彦

東京都立杉並高等学校

E-mail Masahiko_Itou@education.metro.tokyo.jp

電話 03-3391-6530 FAX 03-3398-3767